この記事では、子どもはいつから漬物を食べて良いのかについて詳しく解説しています。
漬物は塩分が多いので、赤ちゃんや幼児に食べさせるのが心配な方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、子どもが漬物を食べられる年齢に明確な基準はありません。なので、厚生労働省が出している乳児・小児の塩分摂取基準値の範囲内なら、1歳未満でも漬物を食べさせる事は可能と言えます。
しかしながら、漬物そのままだと塩気が強いので、小さい子供に与える場合にはお湯で洗って塩分濃度を薄める等した方が良いでしょう。
なお、小さい子どもは内臓機能が未発達であり、多量の塩分摂取は腎臓への負担になります。なので、漬物をそのまま食べさせるのは3歳を過ぎてからがおすすめです。
記事中ではさらに具体的に解説していますので、もっと詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみて下さい。また、記事の後半では、子どもに漬物を食べさせる際の注意点や、子どもにおすすめの漬物の種類・レシピ等も紹介していますので、それらも参考になれば幸いです。
1歳はNG?子どもはいつから漬物を食べて良いのかを解説!
1.子どもが漬物を食べられる年齢に明確な基準はない!
子どもが漬物を食べられる年齢に明確な基準はありません。なので、例え1歳でも漬物の量や塩分濃度に気を付ければ食べさせる事は可能です。
ちなみに、離乳食後期にもなると、すでに味付けされた大人の食事からの取り分けができるようになるので、離乳食に梅干し等の漬物が混ざる事もあり得ます。また、離乳食のレシピには、実際に梅干しを使った物もあります。
しかしながら、幼児園の給食では、1歳半に満たない赤ちゃんには漬物は与えないように配慮されている現状もあります。なので、子供に漬物を与えるのは、早くても離乳食期を過ぎてからにした方が良いかもしれません。
また、子どもに漬物を食べさせる際、一番気になるのは塩分ではないでしょうか。そこで、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」を基に、乳児・小児の塩分摂取量について基準値をまとめてみました。
男児 | 女児 | |
年齢 | 塩分摂取量(目安) | 塩分目標量(目安) |
0~5ヶ月 | 0.3g/日 | 0.3g/日 |
6~11ヶ月 | 1.5g/日 | 1.5g/日 |
1~2歳 | 3.0g未満/日 | 3.0g未満/日 |
3~5歳 | 3.5g未満/日 | 3.5g未満/日 |
6~7歳 | 4.5g未満/日 | 4.5g未満/日 |
8~9歳 | 5.0g未満/日 | 5.0g未満/日 |
10~11歳 | 6.0g未満/日 | 6.0g未満/日 |
12~14歳 | 7.0g未満/日 | 6.5g未満/日 |
15~17歳 | 7.5g未満/日 | 6.5g未満/日 |
なお、一般的なたくあん漬け1切れあたりに含まれる食塩相当量は0.23g程と言われています。なので、上表によれば、少量であれば離乳食期以降の子どもに漬物を食べさせる事は可能と言えます。
しかし、塩分は漬物以外の食事からも摂る事になるので、過剰摂取には注意が必要です。その為、漬物を小さい子どもに食べさせる時には、与える量を少なめにするのはもちろん、お湯で洗って塩分濃度を薄めたり、食べさせる頻度を少なくしたりすると良いでしょう。
2.子どもに漬物を食べさせるおすすめ時期は3歳以降!
子どもに漬物をそのまま食べさせるのは、できれば3歳以降にされるのがおすすめです。なぜなら、2歳以下の子どもは内臓の機能がまだ未熟であり、漬物で多量の塩分を摂取すると腎臓に負担をかけてしまうからです。
また、2歳以下で乳歯がまだ生え揃っていない子どもは、繊維質の野菜でできている漬物は上手く噛み切れなかったり、硬くて噛みにくかったりもします。
3歳頃になれば、乳歯が生え揃い、硬い漬物でも噛めるようになりますし、腎臓などの内臓機能も急速に発達してきます。なので、子どもに漬物を食べさせるのは、できるだけ3歳以降にされるのがおすすめです。
3.キムチを食べさせるのは小学生に上がる頃が目安!
子どもにキムチを食べさせる場合は、小学生に上がる頃を目安にされるのがおすすめです。なぜなら、キムチは漬物の中でも特に辛くて刺激が強いからです。消化機能がある程度発達してからでないと、お腹が痛くなる恐れがあるので注意が必要です。
子どもに漬物を食べさせる時の3つの注意点を解説!
注意点①:1歳未満にはちみつ漬けの梅干しは与えない事
1歳未満の赤ちゃんには、はちみつ漬けの梅干しを与えてはいけません。なぜなら、1歳未満の赤ちゃんがはちみつを食べると、「乳児ボツリヌス症」にかかる事があるからです。
1歳未満の赤ちゃんが乳児ボツリヌス症にかかると、便秘やほ乳力の低下、元気がなくなる、泣き声が変わる、首のすわりが悪くなる等の症状を引き起こす事があり、稀に亡くなってしまう事もあります。
乳児ボツリヌス症は、はちみつに含まれる「ボツリヌス菌」と呼ばれる菌が原因で発症しますが、この菌は熱に強く、加熱しても死滅しないので注意が必要です。
注意点②:浅漬けは食中毒に注意する事
生野菜には土などに由来する細菌が必ず付いているので、それが原因で食中毒が引き起こされる事があります。通常の漬物は塩分濃度が高く、乳酸発酵もあるので食中毒菌は死滅します。しかし、浅漬けの場合には食中毒菌は死滅しないので注意が必要です。
生野菜は流水で綺麗に洗い、汚れや細菌をしっかり取り除いてから使用するようにしましょう。
注意点③:塩分の過剰摂取に注意する事
小さい子どもが塩分を摂り過ぎると、食塩中毒で死亡するケースもあるので注意が必要です。具体的には、体重1kgあたり0.5~1gの塩分量が致死量と言われています。なので、子どもの塩分摂り過ぎにはくれぐれも注意しましょう。
子どもにおすすめの漬物の種類3選!
1.ぬか漬け【整腸や免疫力アップに効果的】
ぬか漬けとは、植物性乳酸菌や酵母、酪酸菌といった様々な善玉菌(12~30種類)が含まれている発酵食品です。特に乳酸菌は10種類以上も含まれており、その数はヨーグルトよりも多いと言われています。なので、ぬか漬けは腸内環境を整える観点からも優れた食材と言えます。
また、ぬか漬けに含まれる代表的な栄養素には、ビタミンEやビタミンB1があります。その為、血行促進や疲労回復といった効果も期待できます。
さらに、ぬか漬けには味がしっかりついているので、野菜嫌いの子どもでもポリポリ食べやすい点もおすすめのポイントです。ただし、ぬか漬けには塩分が多いので、食べ過ぎには注意しましょう。
2.浅漬け【ビタミンCを摂りやすい】
浅漬けには、野菜に含まれるビタミンC量を増加させる作用がある事が最近の研究で明らかになっています。ちなみに、ビタミンCには、子供の骨を伸ばすコラーゲンを作ったり、ストレスや風邪等の病気に対する抵抗力を強めたりする働きが期待出来ます。
なので、子供の健やかな成長のためにビタミンCの摂取量を重視するなら、浅漬けがおすすめです。
3.キムチ【ビタミンB群の栄養価が高い】
キムチには、ビタミンB1やビタミンB2といったビタミンB群の栄養価が高い特徴があります。
ビタミンB1には、疲労の回復を助けたり、脳と神経を正常に保ったりする役割があります。
一方、ビタミンB2には、脂質が新しい細胞を作るのを助ける働きがあります。そのため、子どもの発育にも欠かせない事から、「成長ビタミン」や「発育ビタミン」等と呼ばれています。
なお、ビタミンB2が不足すると、子供の成長障害に繋がる恐れがあるので注意が必要です。
子どもにおすすめの漬物レシピを2つ紹介!
レシピ①:きゅうりの塩漬け
- きゅうり
- 塩(1本あたり2g程度)
- ポリ袋(1袋)
- 水できゅうりの棘と汚れを綺麗に洗い流す
- きゅうりの両端を1cm程切り落とす
- きゅうりを縦半分に切る
- 1cmくらいの幅で斜め切りにする
- 塩をきゅうりに振りかける
- きゅうりがピカピカになるまで揉む(30秒くらい)
- きゅうりの色が濃くなるまで水気を絞る
- ポリ袋に入れる
- 半日程冷蔵庫で漬け込めば完成
きゅうりの塩漬けは、ポリ袋さえあれば誰でも簡単に作る事ができます。なので、手軽に漬物を用意したい時には特におすすめです。
レシピ②:ぬか漬け
1.ぬか床の作り方
- ぬか床容器
- 生ぬか:1kg
- 粗塩:100~130g程度
- ミネラルウォーター:1リットル
- 山椒の実:大さじ1~2
- 捨て漬け野菜:100~300g程度
- 昆布:2枚(5cm四方)
- 赤唐辛子:2本
- 煮干し:6本
- かつお節:4g
ぬか床容器は、「ほうろう」「タッパウェア」「かめ」のいずれかを用意しましょう。
また、捨て漬け野菜は、ブロッコリーの皮や芯、カブや人参のヘタ、カブや大根の皮、キャベツなど水分が少ない固めの野菜を選ぶのがおすすめです。
- ボールに生ぬかを入れて塩を加える
- 湯がいた山椒の実を加える
- 手でまんべんなく混ぜる
- ミネラルウォーターを加える
- 粉っぽさがなくなるまで手で混ぜる
- 昆布、赤唐辛子、にぼし、かつお節を加えて混ぜる
- ぬか床容器にぬかを移す
- 捨て漬け野菜を埋める
- 表面を手で抑えて空気を抜くように整える
- 容器のふちについているぬかをきれいに拭き取る(ぬか床の完成)
- 直射日光の当たらない場所で常温で保管する
- 1日1~2回天地返し(※1)をする
- 2~4日程経って捨て漬け野菜がしんなりしてきたら取り替える(※2)
- 15日程経って味がマイルドになったら本漬けを開始してOK
(※1)上と下をひっくり返すように混ぜる事
(※2)取り替える野菜は水分をぬか床に絞ると良い
捨て漬け熟成期間とは、ぬか床を発酵熟成させて菌を増やす期間になります。具体的には、冬は3~4週間、夏は7~10日間程になります。この期間を経る事で、ぬか漬け本来の美味しさや芳醇な香りを出す事ができます。
ちなみに、真夏に常温で保管する際には、温度が30°を超えてしまうと発酵が進みすぎて雑菌が増殖してしまうので注意が必要です。ぬか床の適温は15~25℃程度なので、暑い日は保冷バックに入れて保管したり、冷蔵庫に入れて保管したりするのがおすすめです。
2.本漬けのやり方
- 野菜(きゅうり、なす、かぼちゃ、ゴボウ、カブ、大根、人参、長芋など)
- 粗塩
ゴボウやかぼちゃを本漬けする際には、茹でたり蒸したりしてもOKです。
また、塩はなるべく粗塩を使った方が食感が良くなるのでおすすめです。
- 野菜に塩をまぶす
- そのままぬか床に入れる
- 容器のふちについているぬかをきれいに拭き取る
- 冷蔵庫で1~4日程(お好みで)漬ければ完成
塩をまぶした野菜をぬか床に入れる際には、野菜が表面に出ないように埋めましょう。かぼちゃはクズがぬかの中に入りやすいので、医療用のガーゼに包んで漬けるのがおすすめです。